セラミック矯正
セラミック矯正とは
セラミック矯正とは、セラミックで作られたクラウン(被せ物)を歯にセットすることで、短期的に歯並びや歯の形態、色調を改善する治療方法です。
治療では、天然歯を一層削り土台としてセラミッククラウンを合着します。
セラミックは、生体親和性が高い安全性に優れた素材であり、歯の色調や透明感を再現することに優れた審美性を有しています。
金属を使用しないため、金属アレルギーの発症リスクもありません。また、金属の補綴物のように、経年劣化による金属イオンの流出によって、歯肉が黒ずむといったメタルタトゥーを予防することができます。
セラミック矯正はこんな方におすすめ
- 短期間で歯並びをきれいにしたい方
- 矯正装置が目立つワイヤー矯正ができない方
- 出っ歯が気になる方
- 捻転歯(歯の捻じれ)がある方
- 失活歯等の変色や黄ばみがある方
- テトラサイクリン歯(抗菌薬の服用による帯状の変色)にお悩みの方
- 矮小歯(解剖学的に平均より小さな歯)がある方
セラミック矯正のメリット
セラミック矯正には、歯列矯正にないさまざまなメリットがあります。
治療期間が短い
歯列矯正では、歯を少しずつ移動させて歯並びを整えていくため、1年半〜3年程度の治療期間がかかります。
セラミック矯正では、歯を削った当日には歯並びが改善された審美性の高い仮歯を装着し、その後、最短4週間程度でセラミッククラウンを装着することができます。
セラミック矯正の治療期間は4週間〜6か月程度で、歯列矯正と比べるとたいへん短いです。
歯の形や色も整えられる
歯のサイズがとても小さい歯やすり減った歯、欠けた歯であっても、セラミック矯正ならセラミッククラウンを装着するため、形もきれいに整えられます。
同様に、変色歯であってもセラミック矯正なら歯の色もご希望の色が選べます。
歯列矯正では歯の形や色は変わりませんから、歯の形や色を整えられるのはセラミック矯正のメリットです。
治療期間中の歯の痛みが少ない
歯列矯正では、歯を移動させるたびに歯の周囲の骨に圧力が加わるため、痛みが発生します。
セラミック矯正なら歯を移動させることなく、セラミッククラウンを装着して歯列不正を整えますので、歯の移動に伴う痛みを感じることがありません。
後戻りを起こしにくい
歯列矯正では、歯並びを整えた後、移動させた歯が元に位置に戻ろうとする現象が生じます。これを後戻りといい、歯列矯正が終わった後は後戻りを防ぐため、リテーナーを歯列矯正期間と同期間程度を装着する必要があります。
セラミック矯正なら歯を移動させないので、後戻りを起こすリスクがほとんどありません。
治療中も目立たない
歯の表面にブラケットという金具、そこに通したワイヤーで歯並びを整えるマルチブラケット矯正は、一般的な矯正治療ですが、とても目立ってしまいます。
セラミック矯正では、歯を削った後、セラミッククラウンを装着するまでの期間、完成予定のセラミッククラウンに近い形の仮歯を入れます。このため、治療中も目立つことがありません。
金属アレルギーのリスクがない
セラミック矯正では、オールセラミッククラウンという金属を使わないセラミッククラウンを使います。内面に金属を使って歯を補強しつつセラミックで美観を整えていた従来型のセラミッククラウンは、金属アレルギーがあると使えません。
セラミック矯正のセラミッククラウンは金属を使いませんので、金属アレルギーの方でも治療を受けられます。
メタルタトゥーを起こさない
メタルタトゥーとは、被せ物の周辺の歯肉が部分的に黒く変色する歯肉変色症の一種です。金属を使った被せ物や土台から溶け出した金属イオンや、金属製の土台を削ったときの削りカスが歯肉に入り込むことが原因で生じます。
セラミック矯正のセラミッククラウンなら、金属材料を含んでいませんので、メタルタトゥーを起こすことがありません。
ブラックマージンを起こしにくい
ブラックマージンとは、被せ物と歯肉の境界あたりが黒く縁取られる現象です。ブラックマージンの原因は、被せ物やその土台に金属材料使うことです。
セラミック矯正で使うセラミッククラウンは金属を使いませんので、ブラックマージンも起こりにくいです。
治したいところだけを選べる
前歯部の歯並びを整えるセラミック矯正ですが、前歯全体ではなく、特定の歯だけ気になるという方もいらっしゃいます。セラミック矯正ならこのような方の場合、気になる部分だけを選んで整えることも可能です。
セラミック矯正のデメリット
セラミック矯正には数多くのメリットがありますが、メリットばかりではなくデメリットもあります。
健康な歯を削る必要がある
セラミック矯正では、セラミッククラウンを装着するために歯を削合する必要があります。一度削った歯は、元に戻ることはありません。
削った歯の虫歯リスクが上がったり、しみたりする可能性があります。
根の治療が必要になることもある
セラミック矯正では、歯の向きを変えず歯の外観を整えるため、歯の向きによってはセラミッククラウンを装着したのち、歯がしみて痛くなることが予想されます。
このような場合、痛みや虫歯などの症状がなくても、歯の根の治療を検討する必要が出てきます。
セラミッククラウンの破損リスク
セラミッククラウンは丈夫な被せ物ですが、硬いものを噛んだり、転倒して打ったりすることで破損することがあります。歯ぎしりや食いしばりなど、噛み合わせの癖による破損も考えられます。
セラミッククラウンの修理は難しいので、欠け方、割れ方によってはセラミッククラウンを外して作り直す必要があります。
全顎的な噛み合わせや歯列不正の改善はできない
セラミック矯正では奥歯の歯列不正は治らないので、全顎的な噛み合わせを含めた歯列不正を根本的に治す場合は歯列矯正がおすすめです。