仮歯
インプラント治療における「仮歯」とは
インプラント治療における「仮歯」の役割
●歯並びの歪みを抑え、見た目も回復
仮歯を入れることで咀嚼力を回復し審美的にも修復されます。
咬合力は、歯を通して発揮されます。
咀嚼筋は、他の筋肉の様に収縮と伸長により成り立っているのではなく、歯の存在を感じ、収縮のみで咬合力が活動します。
このため仮歯が必要です。
●細菌などから患部を保護する「蓋」の役割
口内には約1000億~6000億の常在菌が生息しているとされており、これらには虫歯や歯周病の原因になる細菌も含まれています。
インプラント体が安定する前に細菌感染を起こしてしまうと、炎症を起こしてインプラント体の結合を阻害する因子になってしまうこともあります。
また、歯はお口の中で食事をしたり会話をしたり日常よく動かす場所です。
噛む時にかかる咬合圧や、飲食物による温冷などのさまざまな刺激が、直接インプラント体にかかることでインプラント体やその周辺組織に大きな負担をかけることになるため、仮歯は蓋の役割をして保護してくれるのです。
「仮歯」をいれる期間
基本的に、インプラントはインプラント体を埋入してから3~6ヶ月は上部構造(人工歯)を装着することができません。
仮歯の期間はインプラント体がしっかりと骨や周辺組織と結合したと確認できるまでの間ですから、患者のお口の健康状態や治療法によっても異なります。
仮歯で様子を見る期間は、インプラント体を埋入した際の骨量や骨密度、インプラント体の本数、埋入時の初期固定の時点での強さ等が大きく関わっているのです。
詳しい目安の期間についてはかかりつけ歯科医に確認してみましょう。
また、場合によっては、顎の骨の状態が良く、埋入したインプラント体が骨にしっかり固定できていれば、埋入手術当日に仮歯を装着することができる施術法もあります。
仮歯の強度は?インプラント手術後の注意
仮歯での食事の注意点
●食事で患部に刺激を与えないようにする
仮歯は治療中に修正もしやすいように、レジンの材料でできています。
強度は最終的に入れる上部構造ほどありませんので、気にせず硬いものを噛んでしまうと割れたり欠けてしまったりする可能性があるため注意が必要です。
あまり硬いものを食することは避けましょう。
●食べ物の性質で気を付けるべきもの
インプラント手術後の2〜3日程度は、ヨーグルトやスープなどなるべく噛まずに食べることのできるものを食べるのがおすすめ。
また、仮歯は後に外すことを想定していることもあり、強度は弱めのセメントで合着しています。
キャラメルやソフトキャンディ、ガムなどの粘着力の強いものを食べた拍子に取れてしまうこともあります。
またその際に破損したり誤飲してしまったりする危険性もあるため注意が必要です。
●歯ブラシの使い方に気を付ける
仮歯は長期間使うことを想定していません。
あくまでも上部構造を装着するまでの「つなぎ」だということを意識しておきましょう。
歯ブラシでゴシゴシ強く磨くと外れてしまったり、傷の原因になってしまいます。
また、インプラント体埋入後は歯科医院で定期的におこなう状態の確認をおろそかにしたり、通院しないまま長期間経過すると、計画通りに治療が進まなかったり、上部構造が適合しなくなってしまったりといった不具合を起こす要因にもなりかねません。
インプラント治療の仮歯がとれてしまうことってあるの?
仮歯といえど、基本的によほどでないと取れることはありません。
ですが、場合によってはさまざまな悪条件が重なることや不慮の外力によって外れる可能性もあります。
もしもインプラントの仮歯が外れてしまい、そのまま長い期間放っておくとさまざまな悪影響が考えられます。
細菌感染やインプラント体の結合を阻害したり、歯並びや見た目を悪くしてしまうことになりかねません。
できればその日に、難しい場合でもできるだけ早く歯科医院を受診していただきたいと思います。
インプラントは特殊な器具を使用したり、インプラントのメーカーによって使用する道具も違うため、受診の際にはインプラント手術を受けた歯科医院でないと対応できませんので注意しましょう。